『私が「会社員」兼「個人事業主」になった理由』の記事に書いた通り、2021年1月14日に開業届と青色申請申告書を提出した私。
本日は、開業届と青色申請承認申告書の入手方法・記入方法・提出方法について、実体験を元にまとめていきたいと思います!
開業届の入手・記入・提出方法
開業届の入手方法
開業届の正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」。
以下の国税庁のWEBサイトからPDFをダウンロードすることができます。
ダウンロードしたPDFは、1枚目を入力すると自動的2枚目の「控用」が自動入力されるようになっており、2枚記入する手間が省くことができるのでおすすめです。
PDFのダウンロードの他、最寄りの税務署で受け取ることも可能です。
開業届の記入方法
1. 税務署長名
納税地を所轄する税務署の名称を記入します。
納税地は、基本的には生活の拠点となる自宅となり、お店や事務所がある場合はその場所を納税地とすることも可能です。
以下の国税庁のWEBサイトから税務署の所在地を調べられます。
2. 提出日
開業届は開業したことを報告する届出であるため、開業日より前に開業届を提出することはできません。
提出する日付は「開業日」から1ヵ月以内とされていますが、開業日から1カ月以上経過していても罰則等は特になく、受け付けてもらえます。
3. 納税地/上記以外の住所地・事業所等
基本的には、「住所地」を選択します。
「住所地」:自宅など生活の拠点
「居所地」:別荘や海外に住んでいる人が日本国内で活動する拠点
「事業所等」:お店や事務所など住所地とは別に事業を行っている場所
「上記以外の住所地・事業所等」の欄は、自宅=オフィスの場合は何も記入する必要はありません。
以下のような場合に記入します。
・納税地は自宅で事業所は別にある場合
→「納税地」に自宅住所、「上記以外の住所地・事業所等」に事務所住所を記入
・納税地は事務所
→「納税地」に事務所住所を記入、「上記以外の住所地・事業所等」に自宅住所を記入
電話番号は、携帯電話の番号でも問題ありません。
4. 氏名/印/生年月日
氏名・生年月日を記入し、押印します。
屋号印がある場合は、屋号印でも良いそうです。
2枚目の控用にも忘れずに押印しましょう。
5. 個人番号
マイナンバーカード、または通知カードに記載されているマイナンバーを記入します。
通知カードを無くしてしまった場合は、個人番号入りの住民票を交付してもらうことで、把握することが可能です。
6. 職業
職業の欄には特別な決まりはありません。
私の場合は「オンライン秘書」なので「秘書」と記入しました。
ただし、職業によって事業税(個人事業税)の対象になるので、注意が必要です。
業種ごとの税率は、各都道府県の税金に関するページに記載されています。
東京都の場合は、以下のサイトの「法定業種と税率」を参考にしてみてください。
事業税の対象になる法定業種は全部で70種類あります。
複数の職業で収入がある場合は、収入の多い職業を1つ書きます。
7. 屋号
屋号とは、個人事業主が使用する事業上の名称のことです。
空欄でも開業届・確定申告書は提出できます。
屋号をつけるメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
(1) 屋号で銀行口座が作れる
(2) 取引先・社会からの信用が上がる
(1) 屋号で銀行口座が作れる
屋号があると屋号名で銀行口座を作ることが可能なので、事業口座とプライベートの口座を分けることができます。
(2) 取引先・社会からの信用が上がる
屋号を使っていると、仕事の獲得がスムーズに進みやすく、取引先の安心感も高まる傾向にあります。
税務調査対策のために、屋号での銀行口座への振込のみ対応している企業もあるようです。
また、商工会などへ加入したい場合も、屋号を持っているとスムーズに進みます。
屋号の決め方としては、以下の3点がポイントです。
(1) 会社だと誤解される名前はつけない
(2) 商号登記や商標登録がされている名称はつけない
(3) 事業内容がわかりやすい屋号にする
(1) 会社だと誤解される名前はつけない
「●●会社」、「●●法人」、「●●合同会社」、「●●株式会社」といった名称は、会社だと誤解される恐れがあるため、使用することができません。
「●● Co.LTD」「●● Inc.」などの英語表記や、「コーポレーション」、「カンパニー」などのカタカナ表記でも同様です。
(2) 商号登記や商標登録がされている名称はつけない
商号登記や商標登録がされている名称は、権利侵害となる恐れがあります。
商号は「オンライン登記情報検索サービス」で、商標は「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」」で、それぞれ調べることができます。
なお、屋号には法的拘束力がないため、商号登記・商標登録されていない名称であれば、既に使われている屋号と被っても問題ありません。
(3) 事業内容がわかりやすい屋号にする
聞き慣れない名称や長すぎる名称にすると、発音しにくかったり、覚えてもらいにくかったりすることがあります。
誰からでも事業内容を理解してもらえる屋号にすることで、認知度を高める効果が期待できます。
検索にヒットしやすいワードを屋号に入れれば、インターネットからの集客につながる可能性もあります。
ちなみに、私の屋号は「Right Hand Assistant」です。
経営者の右腕のような秘書になりたいという想いから、この屋号にしました。
屋号を変えたい場合は、次回の確定申告で提出する書類に新しい屋号を記入するだけで変えられます。
書類の提出や申請は不要なので、まずは屋号を決めてみてもいいかもしれませんね。
8. 届出の区分
「開業」に印をつけ、その他は空欄で構いません。
9. 所得の種類
「事業所得」になります。
10. 開業・廃業等日
「開業日」は「新たに事業を開始したとき」を指しますが、明確な定義はありません。
あくまで自己申告ですので、
・開業すると決めた日
・開業のための準備を始めた日
・実際に事業を始めた日
・自分の誕生日
・縁起の良い日(大安吉日)
など、自由に決めることが可能です。
開業した年から青色申告をするには、開業日から2ヶ月以内(1月15日以前に開業した場合は3月15日まで)に青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があるため、開業日の日付を申請書の提出日より2ヶ月以上前に設定しないよう気をつけましょう。
青色申告については、こちらの記事にて記載していますので、併せてご確認ください。
私の場合、2020年から事業を始めていたのですが、開業日は2021年1月14日にしました。
特にこだわりはなかったのですが、「いいよ」の日です。
2020年のうちに開業届並びに青色申告承認書を提出できなかったので、2020年1月1日〜12月31日の収入分は、白色申告します。
2021年1月からの収入分は青色申告したかったので、1月の日程で一番早く税務署に提出できる日にしました。
11. 事業所等を新増設、移転、廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
新規開業の場合、記入不要です。
12. 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
青色申告承認申請書を一緒に提出する場合は「有」に印を付けます。
消費税に関する書類は、大抵の事業者は「無」で構いません。
基本的に開業から2年間は、ほとんどの事業者が消費税を納めなくてよいとされているからです。
消費税の納付が必要となるのは、原則として、前々年の課税売上高が1,000万円を超えた事業者です。
13. 事業の概要
税務署の職員が見た際に、どのような事業をしているのかが分かるように記載します。
私の場合は、「経営者のスケジュール・タスク管理、プロジェクトの進行管理」としました。
14. 給与等の支払いの状況
家族従業員(専従者)や、家族以外の従業員(使用人)を雇用する予定がある場合に記入します。
15. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無/給与支払を開始する年月日
給与支払がない場合は、空欄のままで構いません。
16. 関与税理士の情報
提出時点で税理士に税務を依頼することが決まっている場合は、その税理士に関する情報(氏名・電話番号)を記入します。
あとから税理士に税務を依頼することになっても、改めて開業届を提出し直す必要はありません。
開業届の提出方法
納税地を所轄する税務署に持参もしくは郵送します。
税務署の開庁日時は、平日8:30~17:00。土・日・祝日は閉庁日です。
税務署に設置されている「時間外収受箱」に投函することもできます。
青色申告承認申請書の入手・記入・提出方法
青色申告承認申請書の入手方法
青色申告承認申請書は、青色申告をする場合は必ず提出する必要があり、提出しなかった場合は自動的に白色申告となります。
以下の国税庁のWEBサイトからPDFをダウンロードすることができます。
開業届同様、最寄りの税務署で受け取ることも可能です。
青色申告承認申請書の記入方法
1. 税務署長名
2. 提出日
3. 納税地/上記以外の住所地・事業所等
4. 氏名/印/生年月日
5. 個人番号
6. 職業
7. 屋号
上記1〜7は開業届と同じ内容を記載します。
8. 所得税の申告年度
青色申告を開始したい年度を記入します。
9. 事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地
自宅=オフィスの場合、お店や事務所が1つの場合は空欄で構いません。
10. 所得の種類
「事業所得」に印を付けます。
11. いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無
初めて申請する場合は、「無」に印を付けます。
12. 本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
私の場合、開業日は2021年1月14日なので空欄にしていたのですが、税務署で書くように求められました。
13. 相続による事業承継の有無
「無」に印を付けます。
14. その他参考事項
(1) 簿記方式
青色申告で65万円控除を受けたい場合「複式簿記」に、10万円控除の場合は「簡易簿記」に印を付けます。
(2) 備付帳簿名
65万円控除を受けるには、「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」「預金出納帳」「総勘定元帳」「仕訳帳」に印を付けます。
10万円控除の場合は、「現金出納帳」に印を付けましょう。
(3) その他
空欄で構いません。
15. 関与税理士の情報
開業届と同じです。
青色申告承認申請書の提出方法
開業届同様、納税地を所轄する税務署に持参もしくは郵送します。
青色申請承認書の提出期限は、1月15日以前に開業した場合は3月15日まで、1月16日以後に開業した場合は開業日から2ヶ月となるため、開業届と一緒に提出することをおすすめします。
提出時の留意点
税務署に提出した開業届・青色申告承認申請書の原本は返却されないので、必ず控えを用意します。
控えは事業用の銀行口座やクレジットカードを作成する時や、ビジネスアカウントを作成する時など、民間サービスの契約などで提出を求められることがあります。
記入が終わった原本のコピーをとる、またはパソコンで作成した場合は、必要な部数を印刷します。
すべてに自分の印鑑を押した上で税務署に提出し、税務署で書類左上に収受印を押してもらいます。
書類を記入してからの手続きは簡単!
税務署に到着してから収受印を押してもらうまで、5分もかからないくらいでした!